日本人が古来こよなく愛してきた白居易と柳宗元。「長恨歌」や「江雪」は教科書にも取りあげられている。とはいえ、この二人はただ詩人だったのではない。二人は共に、当時その制度が確立した科挙によって登用された新進官僚であり、志を持って政治に携わり、同じように時代と政争の荒波に翻弄された。激動の中唐にあって、一方は高位と長寿に恵まれ、他方は逆境のうちに生を終えた。ほぼ同年齢の詩人の生涯と心の軌跡を、詩文の平易な現代語訳でたどりながら、彼らの人生の充実を支えたものが何かを考える。
ISBN 978-4-00-029160-6
C0397
刊行年月 2015年4月
全287頁
目次
はじめにー白居易と柳宗元が生きた時代
第一部 白居易の人生と詩
序章 白居易の人生観ー「兼済」と「独善」
第１章 少年時代ー青雲の志、そして恋愛
第２章 青年官僚としてー兼済の日々
第３章 盩厔県尉ー「長恨歌」がこの時
第４章 諫官時代趣味の喜びー翰林学士・左拾遺
第５章 服喪・閑官
第６章 左遷の時代
第７章 知制誥・中書舎人ー官界の中枢へ
第８章 独善閑居に向かって
第９章 蘇州刺史
第１０章 再び行政の要職へー秘書監・刑部侍郎
第１１章 太子賓客分司・河南尹
第１２章 洛陽の晩年ー琴詩酒と雪月花の日々、だが
終章 人生の実事は是れ歓娯
第二部 柳宗元の人生と詩
序章 元和に生きた柳宗元
第１章 少年時代ー進士に及第するまで
第２章 青年官僚ー輝ける六年
第３章 永州時代前期
第４章 永州時代後期
第５章 永州時代の文章
第６章 北還とその詩
第７章 南逐とその詩
第８章 柳州時代
終章 文章は命の達するを憎む
おわりに
参考文献
あとがき
白柳略年譜
コラム 唐代の官制/律詩と古詩/長安と洛陽/香山寺